#9 Over Load / 中島美嘉

 

大人になって気付いたのは

大人になんてなれない事

夢は消えない

               Over Load / 中島美嘉 

 

2009年にリリースされた中島美嘉の25thシングル。

提供された歌詞を歌うことが多かった中島美嘉も、

特にキャリアを積んでからは自ら作詞し歌っており、この曲もそのひとつ。

ラードや暗くヘビーな曲を歌うイメージが強いが、

歌詞も前向きで曲調もアップテンポ。

良い意味でイメージを壊してくれた楽曲だと思う。

 

早く大人になりたい。子供の頃に戻りたい。

一度はそんなことを思ったことがあるのではないだろうか。

法律的な意味ではなく、自分はいつまで子供でいて良いのか、

いつから大人にならなければならないのか、

今でもよくわかっていない。

 

バンドマンがたまに、この歳までよく続けていると同級生に言われる、

と言うような話をしていることを耳にする。

夢を見ることは、夢を追うことは、そしてまさに夢の舞台に立っている人は、

果たして子供なのだろうか。いくつになっても夢を見たい。

それでも、現実から目を背けられず、夢を諦めて普通に生活している人は山ほどいる。

埋もれてしまった人がたくさんいる中、いつまでも夢を追う人の輝きを、

そのバイタリティを、讃えているこの歌詞はとても気持ちが良い。

歳を取るごとに、社会は夢を追う人に冷たくなり、

夢を叶えた人に羨望の眼差しを向ける。だからこそこの歌詞に目が行く。

 

大人になるって何だろう。

人が人生の中で抱える悩みのひとつ。

そうやって毎日に葛藤を抱きながら、私たちは生きている。

社会が定義しようと、いつまでも子供の心を忘れない。

好きなものに夢中になり、楽しいことでキャッキャと笑い、

悲しいときに泣いて、辛いときに落ち込む。

答えはきっとない。時に子供で、時に大人でいられる今を生きるしかないのだ。