#35 君 連れ去る時の訪れを / GARNET CROW
君を連れ去る時の訪れを
降り続く雨 こんな日は想いを巡らす
どんな出会いも別れがあるから
心の奥で幸福畏れた
君 連れ去る時の訪れを / GARNET CROW(作詞:Azuki Nana)
2004年にリリースされたGARNET CROWの4thアルバム「I'm waiting 4 you」収録曲。
アルバムのラストを飾るこの曲は壮大なバラードに仕上がっており、
ファン投票でも上位の人気曲で、解散後のリクエストベストにも収録された。
個人的にはリリース当時からとても気に入っていた曲で、歌詞のテーマも素晴らしく、
「今日の君と明日を待つ」に匹敵する隠れたアルバムの名曲と思っていたが、
割とメジャー曲だったことを知り少し落胆した記憶がある。
人間はいつか必ず息を引き取りこの世を去る。
別れのない出会いはなく、だからこそその儚さに価値が生まれる。
どんな出会いも別れがあるから、それがわかっているから、
失ったときの悲しみを畏れて逃げてしまう人もいるのかもしれない。
しかし、パートナーが余命わずかと知りながら結婚する人だっているし、
最期の最期まで時間を共にすることを選択する人は大勢いる。
どちらを選択しても、悲しみが満ち溢れることに変わりない。
ならば、いつか消えてしまうなら、大切なものはそばにある方が良い。
手を繋いだら二度と離れない、そんな出逢いがいい。
でも、大切な人を、そして自分をこの世から連れ去る時は必ず訪れる。
皆、心の中ではわかっている。
それでもまだ先のことだと現実から目を背けて生きている。
それが実際に先のことで今も楽しく暮らせている人もいるだろうし、
突然失った経験をした人だっている。
周りの人が突然この世からいなくなってしまったら。
病気を患って、覚悟ができる猶予が与えられるが、
刻一刻と迫るその時を肌で感じながら息の詰まる時間を過ごすのと、
事故や突然死などで急にその時を迎えるのと、どちらが良いのだろうか。
自分だったら、誰にも迷惑をかけず突然、と思うかもしれない。
でも自分以外の人にはどんな形であれ可能な限り長生きを望むかもしれない。
人間は自分勝手な生き物だ。
だから少しだけ、この曲を聴いた時に誰かがいなくなった時のことを想像して欲しい。
お互い悔いなく終わることが出来るように、毎日の言葉を交わして欲しい。
難しいことだ。日本人は特に、気持ちを言葉にするのが苦手な人種である。
だから、言葉にするのは無理でも、せめて態度で示して欲しい。
いつかの別れを想いながら生きるなんて苦しいことはしなくて良いから、
いつその時が来てもあなたのそばにいることができて良かったと、
思い思われるような関係で、常にいることができるように。
それ以上、素敵なことなんてないのだから。