#36 GOLD / B'z

みんなの声が聞こえたかい?

一人でも恐くない

気がついただろう?

                   GOLD / B'z(作詞:稲葉浩志

 

2001年にリリースされたB'zの32ndシングル曲。

シャウトの激しいロック曲のイメージの強さと同じくらい、

B'zはバラードのヒット曲も多く、人気曲も多い。

オーケストラによるストリングスから始まる壮大なバラード曲で、

17年経った今でも色褪せない名曲のひとつである。

 

今年デビュー30周年を迎えるB'z。数多くのヒット曲を世に残した彼らは、

日本を代表するアーティストでありロックバンドであることは明白である。

作詞が稲葉、作曲が松本のスタイルは今でも変わっておらず、

デビュー当時から30年、数多くの曲を発表してきた。

このアニバーサリーイヤーにはドームやスタジアムを回り、

多くのリスナーをツアーに動員している。

デビューから30年も経ったバンドが、

これほどの規模でライブを行えるほどの人気を保っているのは奇跡とも言える。

 

何か辛い日々に襲われているとき、

全てをネガティブに捕らえ、明日が来るのを畏れ、目を伏せる。

どこかへ出掛けたり、誰かと会って時間が早く進んでしまうことを畏れ、根を張る。

毎日を過ごすのが精一杯で、何も無い一日に幸福を感じ、

また扉を開かなければならない時が来るたびに、脚は重くなる。

 

人はどん底に落ちてしまうと、周りが見えなくなる。

良かれと思って掛けられた誰かの言葉も、余計なお世話に感じてしまう。

何も知らないくせに、なんてつき返してしまうのだ。

何かのきっかけで我に返らないと、その優しさは身に染みていかない。

優しい言葉はネガティブな気持ちに形を変えられて、

意地悪や嫌味、見下した言葉に変換されて頭に入ってきてしまう。

本当の声が聞こえてこないのである。

 

みんなの声が聞こえたかい?気が付いただろう?

シンプルな歌詞ではあるが、ここには短いフレーズで的確に、

励ましの言葉が刻まれている。

この曲を聞いて、掛けられた言葉の意味を考え直した人がいたとしたら、

カッとなった自分に気付き、相手の気持ちに気付いた人がいたとしたら、

書いた稲葉は本望なのではないかと勝手に思ってしまうほど、

私はこの曲の中でこのフレーズが気に入っている。

 

これまで何度も書いてきたことではあるが、

辛いときは思い出さなければいけない。

自分は一人で生きて来たわけじゃない。

助けてくれた人がたくさんいる。

耳を傾けるべきは、自分を見てくれている人たちの言葉だ。

 

自分を失くしてしまいそうな時は、耳を澄ましてみよう。

あの時のあの人の言葉が、蘇ってくるかもしれない。

苦しくても、一人でずっと籠っていてはいけない。

本当に苦しい時こそ、外に出て誰かと触れ合って欲しい。

あなたの異変に、心の叫びに気付く人がきっといる。

消えてゆく陽の黄金色に、誰の言葉を、誰の顔を浮かべるだろうか。

ひたすら、未来に待つ最高の瞬間を想えばいい。

一歩出た世界から、新しい日々が始まるはずだ。