#37 (don't) Leave me alone / 浜崎あゆみ

どうかひとりでいさせて

今はひとりでいさせて

だけどひとりにしないで

               (don't) Leave me alone / 浜崎あゆみ

 

2008年にリリースされた浜崎あゆみの9thアルバム「GUILTY」収録曲。

この頃から発表される曲がポップな曲よりもダークでロックテイストが目立ち、

シングル曲でも「Mirrorcle World」や「Rule」などでヒットを飛ばしている。

浜崎あゆみの中期から晩期にかけての王道曲とも言えるのではないだろうか。

 

この曲はまず、タイトルのつけ方にセンスの高さを感じた。

ひとりになりたい時、ひとりにして欲しいけれど、

そのままひとりにはしないで欲しい。

わがままだが人間はそういう生き物だ。

この物理的にひとりになりたいんだけど心をひとりにしないで欲しい、

というような内容の曲に括弧をうまく利用して、

(don't)Leave me aloneというタイトルをつけたのは素晴らしいと当時感動した。

当時は曲名やアルバムのタイトルに括弧をつける習慣はあまりなかっただけに、

なおさらそのすごさを感じて10年経っても記憶に残っているのである。

 

もういっそ罵って、ならいっそ突き放して、

優しくなんてしないで、受け止めたりしないで。

相手を遠ざける言葉が続くこの曲は、人間の我侭で自分勝手な本性を書き表している。

言葉では突き放しても、心の中で引きとめて欲しい、追いかけてきて欲しい、

そんなような事を思うものだ。

時にはわざとそんな言葉を投げかけて相手を試す人間だっている。

 

面倒なやつだと思われたら離れていってしまうし、

強がって本当の自分を偽るのは心からの関係とは言えない。

人間の心はなんて複雑なのだろう。

浜崎自身も恋はたくさんしてきただろうし、

女性らしいそんな天邪鬼な一面もあるのかもしれない。

ルックスや会社のプッシュだけではない、人間らしい歌詞が書けるからこそ、

彼女はトップスタートしての階段を登ったのだと思う。

 

本能のままに生きるのが苦手な人間の、言葉の裏を読み取るのはとても難しい。

だけどそれが言葉にしやすいのが歌であり、音楽なのである。

相手の本心を理解するのは動物の中で唯一人間に課せられたもの。

人との関わりを面倒だと思わず、心に寄り添うことができる人間に、

なれたらと思う。