#38 ぎゅっと / Sexy Zone

どんな時も笑顔でいる優しいひと

隠れて泣いてる優しいひと

もうちょっと、あともうちょっと

本当の君でいいじゃん

                     ぎゅっと / Sexy Zone(作詞:宮田航輔(nicoten)・菊池風磨

 

2017年にリリースされたSexy Zoneの14thシングル曲。

キャッチーなメロディや子供達と楽しく踊っているPVが印象的で、

年末にもパワープレイされヒットした彼らの2017年の代表曲である。

メンバーの菊池も作詞に参加したことも話題となった。

 

この曲を聞いた大人たちは、こんなありきたりなJ-POP、

なんて思うかもしれない。

ただ頑張れと歌う曲は昔から絶えず、またこれかと思われ、

恋愛の歌ばかり書いているとそれしか芸が無いと言われ、

新しさを求めるリスナーは世の中にたくさんいる。

Perfumeが送り出したエレクトロサウンドがヒットしたのも、

新しいものを求めている現代人の思考にマッチしたからであろう。

 

それでも、私は「頑張って」と言ってくれる音楽は尽きてはいけないと思う。

昔の歌を聴いていればいいじゃないか、と言われればそうなのかもしれないが、

今、この時代に頑張っている人がたくさんいる。

昔の曲を知らない世代が、学校と言う閉鎖的な空間の中でもだえていたり、

テレビを見る時間も惜しむような多忙な社会人がたまたま目にしたり耳にした時に、

ふっと肩の力が抜けるような、そんな曲がいつの時代にもあって良いと思う。

今の人が伝える「頑張って」も、重要な役割を果たしているのだ。

 

承知の通り、みんな自分の世界で頑張っている。

周りの人が見ていないところで歯を食いしばって耐えている。

弱い自分を曝け出すのが苦手な人はたくさんいるし、

負けてたまるかと戦っている人もいる。

もうちょっと、あともうちょっと、本当の君でいい。

今よりほんのちょっとだけ、誰かに本音を話してみようか。

今よりほんのちょっとだけ、力を抜いてみようか。

張り詰めている人は、そう簡単に自分を諦めないし手は抜かない。

だから、もうちょっと、あともうちょっと。

その声掛けがとても素敵だし、ちゃんと届くんじゃないかな、と感じた。

 

私はあまりTHE王道アイドルのようなグループの曲を好んで聞いたりはしないが、

しっかりとメンバー本人の言葉で、この歌詞が出来上がったことは、

彼らにとってはアーティストとしての階段を一歩上がったことになるのではないか。

少なくとも私の中で、Sexy Zoneはただ歌って踊り、

笑顔を振りまくマスコットではなく、

音楽を通して伝えようとする意思を持っている人たちなのかな、

と、見る目が変わった曲でもある。

今後の彼らの"アイドル"ではなく"アーティスト"としての一面にも、

注目していきたい。