#46 GREEN / TOKIO

広い宇宙のような

母の胸のような

いつか少年のような時へ

もう二度と戻れないなら

せめて連れて行こう

               GREEN / TOKIO(作詞:HIKARI)

 

2002年にリリースされたTOKIOの26 thシングル曲。

3曲でひとつのラブストーリーというコンセプトのシングルであったが、

シングルの表題が「GREEN」であるのに、2曲目に収録されていたことが心象的で、

今でも記憶に残っている。

2002年のTOKIOのリリース曲は私の中では豊作で、花唄、GREEN、ding-dong、

どれも名曲ぞろいである。

特にGREENは緩やかなテンポで比較的高音を伸びやかに歌わなければならず、

音楽性も良い意味でジャニーズらしくなく、歌唱力やセンスを感じさせる。

 

永遠の愛を誓ったラブソングとのことだが、「愛してる」や「永遠に」など、

くさい言葉が一切使われておらず、寡黙な男性らしさを感じると共に、

言い回しが独特で、言われないとラブソングと思わない上品な歌詞が目を引く。

特に印象的な部分が上記部分で、戻れないならせめて連れて行く、

というフレーズが耳に残る。

幼い頃から長い月日を共にした二人が描かれているからだろうか。

GREENというタイトルも、

青々しい若葉や若かりし青春時代のイメージから付けたのだろう。

それともこれからの日々に花を咲かせるであろう二人のことだろうか。

 

子供の頃に一緒にいるときは、ひたすら楽しかったのだろう。

それでも人は大人になるにつれて世界の闇を知り、

その闇からうまく逃れようと考えるようになり、純粋な気持ちは失われていく。

隣にいるあの子に、子供ながらに無重力の広い宇宙にいるような楽さ、自由を感じ、

母の胸のような温かさと優しさを覚え、闇を知らず無邪気に笑い合っていたあの頃。

子供は大人になれるけど、大人はもう子供には戻れない。

戻れないのならば、そこに決別するのではなく、

その思い出と共にあなたをこの先の人生へと連れて行く。

 

人が「この人と人生を共に生きていこう」と思うきっかけは何なのだろうか。

ありふれた日常に感じる親近感なのか、ふとした時に垣間見える容姿の美しさなのか。

恋をする時のそれとは、重さが違う。

それを決断するきっかけなんて、

誰に聞いても本当のところはわかっていないのかもしれない。

「なんとなく」それが一番続く愛なのかもしれない。

遊びまわるほどの体力があった若かりし日々や、激しく求め合った日々も、

歳を取るにつれて欲も薄れていけば心も落ち着いて消え去っていく。

どんなにあの頃に戻ろうと思ったって、時を戻すことは出来ない。

「素敵な思い出」と仕舞い込むのではなくて、「あの時はこうだったよね」と、

いつでも思い出の宝箱を開けることができるその人を、

彼は人生の幕引きまで連れて行くことに、決めたのかもしれない。