#47 恋をしている / Every Little Thing
「やっぱりいいな
こうゆうのが凄く嬉しいな」
君はそう言って少しのあいだ
俯いては笑った
今日はすごく冷えるから
あたたかくしてさ
おいしいなぁってビールなんか飲んでさ
そうやってなんてことない毎日に
ほらまた救われていたよ
「やっぱりいいな」
廻り廻った君の言葉をかみしめて泣けた夜
恋をしている / Every Little Thing(作詞:持田香織)
2007年にリリースされたEvery Little Thingの33rdシングル、
「恋をしている / 冬がはじまるよfeat.槇原敬之」収録曲。
聴くだけで寒い冬に温かい光を灯してくれているかのように感じる、
持田香織の包み込むような柔らかな歌声に絶妙に絡むサウンドが印象的な曲。
平凡な中に幸せを感じる、日常をテーマとする歌詞が多い彼女の歌詞。
本作はまさにその王道とも言える歌詞に、「冬」というテーマが添えられている。
「やっぱりいいな」
寒い日に部屋を暖かくして、冷たいビールで喉を潤す。
一日のそんな些細な幸せに、やっぱりいいなぁと感じた後に、
改めてサビで「やっぱりいいな」という言葉が登場する。
ひと言目は恐らく素直に出た言葉。
二言目は、今この瞬間を思い、幸せを感じて出た本音だろう。
あなたとこうやって、なんてことない毎日の中に幸せを感じられることが、
素でも、思い返した後にも「やっぱりいいな」と思うのだ。
そんな廻り廻った言葉を相手から聞けた主人公が、
心からまたそこに幸せを感じ、涙を滲ませる。
この情景を思い浮かべるだけで、
幸せを分けてもらえた気持ちになるのと同時に、
暖かさを象徴するかのような伴奏が更に心を暖めてくれる。
こんなに聴いていてほっこりできる曲は、数少ないのではないだろうか。
「幸せ」の尺度は人ひとりひとり皆違っている。
彼女が描いたような日常に、毎日幸せをかみしめている人もいれば、
ありきたりな日常にうんざりしている人もいる。
でも、小さな幸せを感じられることは、とても良いことだと思う。
どんなに些細でも、心が満たされることは更なる幸せを呼ぶことだろう。
おいしいものを食べることができて幸せ。
好きな音楽を聴けることができて幸せ。
やりたい仕事ができて幸せ。
好きな人と一緒にいることができて幸せ。
家族と過ごす時間を持つことができて幸せ。
この世界には、私たち多くの人々にとっての当たり前を、
当たり前に感じることができない環境にいる人がたくさんいる。
人と尺度が違うのだから、他人の生きる環境など関係ないのかもしれない。
だけど、当たり前が当たり前にあることの幸せを、
そんな小さな幸せを幸せだと感じることで、
すっと肩の力が抜け、見える世界は変わるのではないかと、私は思う。