#49 気分爽快 / 森高千里

まさかあなたが彼を射止めるなんてさ

まいったな 私は正直ちょっぴりショック

人生だわ これも巡り合いなのね

ありがとう ちゃんと話してくれて

                        気分爽快 / 森高千里

 

1994年にリリースされた森高千里の22ndシングル曲。

彼女の代表曲のひとつであり、

歌手活動再会後も音楽番組で歌唱するシーンをよく目にする。

歌声や声の伸びだけでなく、ルックスも含めかなりキープされており、

今テレビで歌唱曲を聞いても聞き苦しさなどない、

若々しさを感じさせるベテラン歌手のひとりである。

 

同じ人を好きになった友人から、

彼を射止めて付き合うことになったことを打ち明けられたシーンを描いた歌詞。

現実に起これば喧嘩や修羅場のようなシーンとなる可能性も大いにあるが、

最初から最後までショックな気持ちを漂わせながらも、

友人の背中を押しつつ「おめでとう」と喜びの言葉を掛ける、

そんな優しさと切なさが複雑に入り混じった感情が鮮明に感じ取れる歌詞が、

非常に印象的で聞いていて心穏やかになれる。

 

自分の好きな人が他の人と、

それも自分の友人と付き合うことになってその報告を受けたら、

どんな気持ちになるだろうか。

おめでとうと心からの祝福はできないかも知れない。

本作品の主人公も、心からの言葉ではなかったかもしれない。

でも、悔しさや悲しさよりも友人との関係を大事に出来るような、

素直に友人の幸せを祝福できる心を持つことが出来れば、

きっとその人にも後から素敵な人との人生が待っていると信じたい。

類は友を呼ぶなんてありきたりな言葉を使いたくはないが、

素敵な人には素敵な人が、きっと集まるものだと思う。

 

そう思ったら、恋愛に限らず今目の前の人生で、

素敵な事が起こるようにと日々を邁進することが出来る気がする。

悪いことをすれば悪い人が寄ってくるし、

嘘をつけば嘘をつかれるのだから。

 

それぞれの社会に生き残る為に必死になっている人が多い現代。

清らかな心で生活できるような平和な世の中ではないのかもしれない。

それでも、ほんの少しだけでも、希望は忘れずに持っていたい。

世間に溢れている綺麗事をリアルに重ねることができなくたって、

すっと力が抜けるような爽快な気持ちに、一瞬でもなれるのであれば、

まだ心は廃れてはいない。それでいい。