#50 Tea for Two / 東方神起

風に揺れる午後の光

テーブルに乗せたTea for Two

僕はソファに横になって君を見つめている

何だか歌っているみたいに繰り返し読んでるレシピ

どんなものが出来上がるの?

レモンとバニラの香り

君が作ってくれるならそれだけでホント嬉しくて

ずーっと続くように

               Tea for Two / 東方神起(作詞:H.U.B.)

 

2009年にリリースされた東方神起の28thシングル「Stand by U」に収録されている、

カップリングナンバー。

何気ない日常にこの上ない幸せを感じ、

自然と笑みがこぼれるシーンが目の前に広がる歌詞と、

優しいメロディーに彼らの柔らかなハスキーボイスが光る、

至極のミディアムバラードである。

 

5人時代はハーモニーを強みとしている傾向が強く、

バラードやミディアムバラードのリリースの割合が多かったためか、

代表曲もスローテンポの曲が多い。

また、日本人が作詞作曲している曲が多く、

J-POPとして耳馴染みが良い曲ばかりなのも印象的である。

対して2人体制になってからはK-POP色が強くなり、

ダンサブルな曲が目立ち、お洒落さを売りにしている傾向がある。

K-POPアーティストとしては唯一と言えるほど長い間、

今も昔もそれぞれ魅力を持っているからこそ人気を保っている。

世間的にA面のStand by Uは彼らの代表曲としてヒットし記憶されているだけに、

当時シングルを手に取った人は多く、

ファンでなくてもこの曲を耳にしたことがある人は、

マイナー曲の中では多いのではないだろうか。

 

風に揺れる午後の光

このひと言だけで、ありふれた毎日の中のワンシーンを思い浮かべる。

そして、情景が浮かぶように言葉が続いていて、

聞き始めから曲の世界観に吸い込まれる。

繰り返しレシピを声に出して読むほど、料理は得意ではない彼女が立つ台所からは、

レモンとバニラの良い香りが漂う。

きっとこの後うまく作ることが出来るのだろう。

紅茶をお供にテーブルに座り、おいしいと言いながら笑い合うひと時を想像させる。

 

人はないものねだりをする。

だから「平凡」を手に入れている大半の人は、別の目標や夢を描く。

普通が一番なんて言いながら、心ではもっともっと上にと願っていたり。

平凡に幸せを感じられたら、それだけで毎日はもっと輝くのに。

見えているかい?君の目の前に広がる平凡の中に煌く幸せが。

そんな風に言われている気持ちになる。

2番に続く歌詞は、明日で世界が終わるなら明日もこうして笑いたい。

主人公の彼が最後の瞬間に選ぶ時間は、そんな時間なのだ。

 

私は、そしてリスナーは最後の瞬間に今日という日を選ぶだろうか。

最後なら、もっとこうしていたいとか、どこかへ行きたいとか、

何も言われずに聞かれたら考えてしまうかもしれない。

つまらない人生だったなんて、ため息をつくかもしれない。

でも、偉業なんて成し遂げていなくていい。

世間が認める成功なんてしていなくたっていい。

あ、幸せだな。

そう感じる瞬間が日々に転がっている人こそ、素敵な人生を歩んでいるのだと思う。

もちろん、日々に感謝をしつつ更に上を目指して努力する人も尊敬する。

私は東方神起の曲はそんなにたくさん知らないが、

素敵な歌に出逢えたなたと思うし、これからもそんな歌に出逢えることを願っている。