#52 遥か / GReeeeN
「まっすぐにやれ よそ見はするな
へたくそでいい」父の笑顔と
「信じる事は簡単な事
疑うよりも気持ちがいいね」母の涙
さようなら
また会える日まで不安と期待を背負って
必ず夢を叶えて笑顔で帰るために
遥か / GReeeeN
2009年にリリースされたGReeeeNの11thシングル表題曲。
2007年のデビュー以来、素顔がわかる形でのメディア露出はなく、
そのスタイルは2019年現在まで一貫している。
一時よりは落ち着いたものの、露出がないながら今もなお人気を博しており、
ハイトーンボイスと低音ボイスの音域の広い楽曲を歌いこなすのも魅力である。
本曲は夢を掴む為に実家を出て新しい世界へ飛び込んでいく若者を主役にした楽曲。
そこへ向かう途中に父や母から言われた言葉を思い出したり、
友人から渡された手紙を読んで思いにふけているシーンが描かれていて、
曲の始めから終わりまでの詞の世界観が非常に読み取りやすく、
若者に指示されている理由のひとつでもある。
親元を離れて初めて親のありがたみがわかる、と言う言葉をよく耳にする。
学生時代、一度も親元を離れたことがなかった私は、
「いざその時になれば、なんとかなるもんでしょ」としか思っていなかった。
実際に親元を出たのは社会人になり、転職をしたタイミングであったため、
ある程度大人になってからの独り立ちだったこともあり、お金にも困らなかったため、
結果、なんとかなるものではあった。
しかしながら、寮に入ったり大学入学のタイミングであったり、
学生時代に実家を出ていたらと思うと、
夢を追いかけてひとりで別の世界に飛び出す若者は、
なんて強いパワーを持っているのだと感心する。
辛くなったとき。寂しくなったとき。
誰の言葉を思い出すだろうか。
何か言葉が欲しくなったら、誰に連絡を取るだろうか。
あの時、あの言葉があったから。
きっとそんな言葉を胸に刻み込んでいる人はたくさんいることだろう。
親は、社会人になった自分がこれまで経験してきたような世界を乗り越えながら、
自分を育ててくれたのだと思うと、自分が親になったときにも、
今目の前を見ている子供に、
その先に広がる未来を見据えた言葉を投げかけてしまうかもしれない。
それをぐっとこらえて、子供の背中を見送る親の気持ち。
辛いことがあの子に降りかかりませんように。
平凡でいいから、幸せな人生を遅れますように。
きっと多くは望まず、そんなようなことを願っていたのではないだろうか。
へたくそだっていいから、まっすぐに生きろ。
人を疑うよりも信じてみなさい。
この曲の主人公に掛けられた言葉は、しっかりと胸に届き、
新しい世界に「いざ行こう」という歌詞でエンディングを迎える。
励ましの言葉は人を強くする。
ひねくれず、ネガティブな言葉よりもポジティブな言葉を掛けてあげられる、
大人でありたい。