#70 きみはいい子 / UNISON SQUARE GARDEN

「こんな僕だけど抱きしめてくれるかな」

当たり前だよ 当たり前だよ

そんなことは当たり前だよ

君はいい子だから愛されなきゃいけないね

だから辛い傷なんてさ

決してあってはいけないんだよ

失敗とか間違いも笑ってやり直せたら

それがいいね それがいいね

今からでもいいから無垢なまま君が笑えますように

    きみはいい子 / UNISON SQUARE GARDEN(作詞:田淵智也

 

2017年にリリースされたUNISON SQUARE GARDENの13thシングル、

fake town baby」収録のカップリング曲。

アップテンポで言葉数の多い楽曲にハイトーンボイスが印象的な彼らだが、

定期的にバラード曲も発表しており、スローで比較的低いキーで落ち着いた、

普段の曲とのギャップを感じさせる一曲である。

 

人に優しく、人を深く愛し、愛する人へ自分を捧げることができる人がいる。

それは決して簡単にできることではない。

優しくされてきたから優しさを知っているだとか、

愛されたことがないから愛し方がわからないとか、

お手本や経験値は確かに大事だし、その言葉の意味はわからないでもない。

わからないでもないが、その逆に、

人に優しくされて来なかったから、

心から愛されることがなかったから、

寂しくて、辛くて、儚くて、そんな気持ちを知っているからこそ、

愛する人に全身全霊で尽くすことができる人がいる。

そんな人を、「いい子」だとするのなら、

その愛する人に君自身が愛されて欲しいと心から願う。

本当の愛が何かを、知って欲しいと思う。

 

不自由なく生活を送ってきたような所謂「普通」の人間にはわからない。

些細な日常が、何よりもの幸せだということを。

小さなプレゼントが、とってもとっても嬉しいことを。

君がそんなに喜ぶから。

涙を流して「幸せだ」と言うから。

だからいつまでも、喜びや幸せを与えたいと思う。

 

「いい子」は、いつも謙虚だ。

こんなに楽しくて罰が当たらないか。

好きな人に抱きしめられるなんて信じられない。

普通に生きてきた人間にとって見れば当たり前のことなのに、

今まで当たり前にそれがなかったから、君にとっては毎日が奇蹟。

 

君はいい子だから、愛されなきゃいけないね。

だから辛い傷なんて、決してあってはいけない。

与えてはいけない。

君を幸せにできるのは、きっと君が決めた人。

想いが届いて、愛する人のもとへ、辿り着けることを願っている。

それが僕で、僕も君を想っていて、だけど君に寄り添うことができないとしても、

願っている。

いつか、きっと別の誰かに、君がいい子だと気付いてもらえて、

死ぬまでそばで、君が愛されますように、と。