#80 HELP / flumpool

押し殺したはずの声

喉のあたり突き刺さって

まして弱音なんて吐いたら見放されてしまいそうだ

心配は要らないとうそぶいた

自分なら隠せると思っていた

耐え忍ぶだけの優等生

教えられた正論に反抗して

落ちこぼれのレッテルを今日も必死で剥がそうとしてる

                    HELP / flumpool(作詞:山村隆太

 

2019年にリリースされたflumpoolの18thシングル表題曲。

ボーカルの山村が2017年に機能性発生障害を患って活動を休止した後の、

復帰第一弾シングルということもあり話題になった。

声が出なくなった当時の、周囲に心配を掛けまいと抱えていた、

苦悩と葛藤に溺れていた彼の本音が詰まった歌詞で、

メッセージ性が強く、復帰後のライブでは山村の背後のスクリーンに歌詞が映し出された。

 

私は同じ病気にかかったこともないし、

彼のような人の前に立って脚光を浴びる仕事もしていない。

置かれている立場は似ても似つかないが、

この曲の歌詞は私の根幹にある変えたくても変えられないその性格と通ずるものがあり、

とても気に入っている。

昔から彼の書く歌詞が好きで、

デビュー当時から今までリリースされている全ての楽曲を聴いているが、

デビューして10年以上、変わらず定期的に素敵な歌詞を届けてくれる。

 

自分の意思や希望を優先させようものなら、きっと見放される。

弱いやつ、つまらないやつ、一緒にいてもメリットがないやつだと思われたら、

近くには誰もいなくなってしまう。そう思っていた。

いつも自分の気持ちを押し殺し、友人の希望を満たすことを優先した。

選びたいものも選べず、食べたいものも食べられず、

いつも残ったものでいいからと、子供なのに歯を食いしばっていた。

いじめられたり、ひとりぼっちになるよりは、ましだったから。

当時は日々何かの本当に小さなきっかけで、すぐに仲間外れやいじめられる対象が替わり、

ターゲットが自分に回ってこないよう、やりくりをして上手くかわすことに苦労していたものだ。

いじめている側の意見に同調し、その陰でいじめられている子の話を聞いてあげ、

今度はいじめられていた子がいじめる側のチームに入り、

そのチームから炙り出された子が次のターゲットとなる。

双方に良い顔をしていたが、今考えるとよくバレずに立ち回っていたなと、我ながら感心する。

 

大人になってもそのベースは変わらず、

基本的には相手に合わせるようにすることが常だった。

だから、自分の本当の気持ちも、弱い心も、隠すことが当たり前で、

曝け出すことがいつの間にかできなくなっていた。

でも、その我慢のお陰か、いつも側には誰かがいてくれた。

偽りの、我慢から来る優しさを、優しいと感じてくれる人がたくさんいた。

もちろん、害がない、自分の都合に合わせてくれる、

そんな理由から友達の"フリ"をしているだけの人もたくさんいた。

だけど昔の自分は、それを振り払うこともせず、

どんな時も独りじゃない、そんな偽りの絆に安心をして、

耐え忍ぶだけの優等生を続けていた。

 

心って脆くって、そのくせ壊れるまで見栄っ張りで、

強がった裏でいつも気付かれたくて、ひたすら悶えてる。

この歌詞は、とても胸に刺さった。

大人になってある程度我を出せるようになると、

もっと知って欲しい、もっと我が儘を言いたい、そんな気持ちが出てくるようになった。

だけどいつも見栄を張って本音を言えなくて、

空気を読み合える、互いが喜ぶ選択をしてくれる人と好んでつるむようになった。

 

そう、こういう生き方をしていると、

助けて欲しいときに「助けて」と素直に求めることが出来ない。

去り行く人に、「いや、私にはあなたが必要なんだ」と伝えることが出来ない。

正しいと教えられたレールから外れて白い目で見られることに耐えられず、

やりたいことに踏み出せない。

 

flumpoolは、きっと私のような人々に、勇気を与えようとしてくれている。

迷惑って思うなって。自分にもたれかかって良いんだよって。

そう、そんな言葉を言ってもらいたかった。

安心して迷惑を掛けられる、そんな存在が欲しかった。

ありがとうflumpool。その存在が、本当に大事な存在なのだと気付かせてくれた。

だから言われたとおり、伝えなくちゃ。

君が必要って。