#85 my graduation / SPEED

振りかえればつらい時はいつもそばにいて励ましてくれたね

言葉にできない想いも涙もあなたはわかってくれたよね

できるならあの頃へ戻りたい

ずっと素直じゃなくてゴメンね

               my graduation / SPEED(作詞:伊秩弘将

 

1998年にリリースされたSPEEDの6thシングル表題曲。

彼女達の代表曲のひとつで、発売から20年経っても色褪せない名曲である。

発売当時はあの歌唱力にして中高生だったのだから驚きである。

 

歌詞を読めばすぐにわかる通り、この曲は失恋ソングであり、

愛していた「あなた」からの卒業を歌っている。

中高生の時、人を愛する気持ちなんてどれ程の人が知っているだろう。

「好き」でもない、「大好き」でもない、愛してる。

彼女たちがとても大人びて見えたのは、そんな内容の歌詞を、

堂々と歌いこなしていたからなのかもしれない。

 

私がこの曲で一番好きな部分、それが上記引用部分である。

大好きな人と別れることになったら、私だってそう思うと思う。

そして、単純に「卒業」として考えても、

子供の頃は今よりも素直に生きることが出来なかったからこそ、

もう一度学生をやり直せればもっと楽しい日々を送れただろうな、と想像する。

 

学生のときは、当たり前のように友達が周りを囲んでいて、

誰かに愚痴をこぼしたり、ストレスを発散しあったり、時には喧嘩して、

人の心に触れることが当たり前だった。

大人になると、たくさんの人に囲まれているのは変わらないが、

社会人としての壁を取り払うことはどうしても出来なくて、

一定の距離を保ったまま、あっという間に時が流れ、心に触れる喜びを忘れる。

思ったことを思ったように言えたり、本当は真面目じゃなくて、

優等生でも頭が良いわけでもなくて、その他大勢と同じように平凡な人間なんだと、

そんなことを曝け出せる友達は、学生の頃にできた友達だけだったんだと、

社会人になってから気付いたものだった。

 

そう思うからこそ、地元や慣れ親しんだ場所から離れて生活している人は、

すごいなと思う。若い頃は特に、寂しかっただろう。

あぁ、友達がいて良かった。若い日々を、それなりに楽しく過ごせて良かった。

そう思えたのだから、今までの人生はとても素敵なものだ。

 

そして、これからも時は流れる。

友達とワイワイ楽しく過ごす日々は、通り過ぎたように思う。

また、「卒業」したのだ。

次はどんな日々が待っている?

責任に追われる日々の中で、心から笑えることは何か。

癒しか、友情か、愛か。

始まったばかりの今のステージが、いつしか終わりを迎え、

また新たなライフステージに立つ頃、

同じように良い日々だったと思えることを、願っている。